父から娘へのバトン−朴の木のテーブルがつなぐ家族−その1
まだ雪の降り積もっている頃、当店にダイニングテーブルのオーダーが舞い込みました。
新しく新築をされたあるご家族からの、実家に保管されている朴の木を使ってテーブルを作れないか、というオーダーです。
「家に植っていた大木を庭整備のために切ったは良いが、そのまま捨てるのも勿体無いしどうしたら良いか分からずそのままにしている」という話は実は結構多くお聞きします。
その大半は持ち主が「持て余している」感じで、「木が好き」で保管はしているものの、どう活かしたらいいかわからないという方が多いです。
今回オーダーをいただいたお客様も、当店で一枚板を2枚つないだテーブルを見て、お父様が好きで実家に眠らせていた木を思い出し、ふと「あの木を使ってテーブルを作れないかな?」と思ったのだそうです。
「父が大切している木を自分が受け継いで使う」ということは、あるようでなかなかないお話です。お父様が大切にされていた木を使うのだからこそ、絶対にご満足のいくテーブルをお渡ししよう。
その思いから、お客様と職人さんと私たちの「オーダーのテーブル作り」が始まりました。
ご依頼主からお預かりしたのは、幅約30cm・高さ約2mの朴ノ木の一枚板が4枚でした。木の外側の木肌(辺材)の白色と、内側(芯材)の深緑のようなオリーブ色のコントラストが美しい木です。
4板の板の内、状態の良い3枚を剥合わせて天板に仕上げます。そしてスチール性の脚を付けて完成させます。
木は緩やかに曲線を描いたフォルムをしており、この曲線を剥ぎ合わせるのが美しい天板を作る際に最大の難関となります。
ご依頼主からの朴ノ木を受け取って、まず初めに感じたのが状態の良さでした。
天板を製作する最初に、まず木の厚さを40〜50mmに整えます。
木は含水率が影響することで歪みが生じやすい素材です。
まずはこの含水率を15%以下にしてから、表面を平らにし、裏面も同様に平らに整えることで厚みを均一にします。
通常はこの作業が3回ほど必要ですが、この朴ノ木はしっかりと乾燥されており、適度な含水率だったためこの工程が1度で済みました。
厚みを整えたら、次は工程の中で最大の難関である3枚の板の「剥ぎ合わせ(接合)」です。
まず3枚の曲線を合わせます。
ここが合わなければ元も子もないのでとても神経を使う作業。
ベニヤ板で曲線の型をつくり、その型を朴ノ木の板の上に乗せて墨付け(印付)し、不要部分を切り落としヤスリがけして3枚がきちんと接合するように調整します。
ベニヤ板で作られた剥ぎ合わせ用の曲線の型
凹凸が残る側面
きちんと接合できるよう慎重に側面を確認する
3枚の板に段差が生じないように「ビスケット」と呼ばれる部品を板と板の間に差し込み、寸分の狂いのない美しい表面を作り上げます。
ちなみにビスケットは楕円の形をしていて見た目は本当にお菓子のビスケットのようでした。
こんなに可愛いものが美しい天板を目に見えないところで支えていると思うと、なおのことこの天板が愛おしく感じられそうだと思いました。
段差ができないように中に仕込む「ビスケット」
板の側面に穴を開けビスケットを挟む①
板の側面に穴を開けビスケットを挟む②
※ブログは「父から娘へのバトン−朴の木のテーブルがつなぐ家族−その2」へ続きます。どうぞお楽しみに!
【次回開催予告:ペルシャ絨毯展】
会期:7/15(土)〜7/30(日)
時間:11:00〜17:00
会場:Roots Lifestyle Shop (Roots猪苗代2F)
ペルシャ絨毯展 会期延長8/31まで(終了しました)
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