父から娘へのバトン−朴の木のテーブルがつなぐ家族−その2

Roots Lifestyle Shop
(6/26に公開したブログ「父から娘へのバトン−朴の木のテーブルがつなぐ家族−その1」の続きです)
今回の接ぎ合わせ作業はとてつもない大きな緊張感が漂う現場で行われました。 ご依頼主の大切な木であり替えのきかない素材であることも然り、実はこの作業を担う職人自体が、カーブの木材の剥ぎ合わせは初めての経験だったからです。 この作業の前に何度も頭の中でシミュレーションを繰り返しますが、一発勝負の現場では何が起こるか分かりません。作業の前に一服をして心を落ち着かせてから、慎重に、かつ勢いを付けて本番に臨みました。 その場にいる誰もが息をすることすら緊張してしまうような空気の中、滞りなく作業を終えることができました。 一発勝負に落ち着いて臨めたのは、職人のとしての経験値の豊富さと、長年で培われた勘の良さがあったからこそでしょう。 それぞれ長さの違う板を剥ぎ合わせているので、剥ぎ合わせ作業後に天板の両端の部分には余分が生まれます。 それらを綺麗に切り落とし、きちんと一枚の板に見えるよう滑らかに整えるのも職人の技です。 凸凹を整えた次は、ご依頼主のリクエストで天板の四角を丸くします。 こうすることでそれぞれ別の板だった3枚に統一感が生まれました。 このような過程を経て、3枚の板を剥ぎ合わせから、それぞれの辺材の白の部分がしっかりと表面に出た美しい天板が生まれました。 このデザインの美しさは、ご依頼主と当社の担当スタッフが何度も話し合って決めたものです。 イメージの写真通りになった天板を見て、感嘆の声を上げた私たち取材班スタッフに対し 「僕はご依頼主とショップさんのイメージを、本当にそのまま形にしただけです。」 と職人は照れたように微笑みました。 美しさは剥ぎ合わせによって生まれたデザインだけではありません。 この天板には、「契り(チギリ)」とよばれる割れ止めが2箇所か入っています。 一箇所は実際に割れ目が入っている所にその割れ目の広がりを防止するためで、もう一箇所はその隣に職人さんが意識的に入れたものです。 素材は「黒檀(コクタン)」という樹種で、元々美しい黒い艶を持った素材です。 経年変化でその艶が増し、さらに美しくなるのが特徴の一つです。 天板の朴の木も経年変化で深緑へと色を変える特性があるので、使用していくと落ち着いた深い色合いを見せる天板へ成長していきます。 「今はあまり分からないですけど、朴の木はゆっくり深緑へ変化します。黒檀の契りはそれに合うなと思って入れてみました。一つは割れ防止のためですけど、もう一つはデザイン的に可愛いかなと思って。」 同じく艶の美しいウォルナット材を使わず、同じアジア圏原産の樹種で揃えるところが憎らしい演出。 ちなみにウォルナットはヨーロッパ諸国が原産で、朴の木は日本、黒檀はラオスやベトナムなど東南アジアが原産。 天板が無事に完成し、あとは仕上げの塗装、脚の設置をしてテーブルの完成となります。 脚と天板の接合部が綺麗に固定されるように、脚を入れる部分をネジで強化します。 その場所は天板の外側から内側に向かって10〜15cmほどの位置にあり、天板と脚が美しく見えるベストなバランスがとれる所とのこと。 このテーブルのために特別に作られたスチール製の脚は台形をしており、天板だけでなく全体的な美しいフォルムが特徴的なテーブルに仕上がりました。 制作当時、ご依頼主の想いが込められた一枚板を受け取り、美しい天板へと生まれ変わらせる職人に、このテーブル製作へのこだわりと、今後どんな風になってほしいかと尋ねてみたことがありました。 若干戸惑った表情を見せながら少し嬉しそうに 「こだわり…。うーん普段からあまりこだわりとか考えたことなくて。でも、とにかくお客様からお預かりした木だから、イメージに添うように作業を進めることが一番こだわっているところだと思います。イメージ通りに作ることを何より大切にしています。このテーブルの今後については…お客様にずっと使い続けてほしいですね。そうなったら嬉しい。」 と静かに力強く答えてくれました。 このテーブルは、これからご依頼主のご家族が時間を重ねる大切な暮らしの道具として、長い長い時間使われていきます。 このテーブルの上にはたまらなく美味しそうな香りを漂わせる料理やお菓子が並び、家族・仲間・親族など大勢の人との楽しい記憶が重なっていくのでしょう。 お子様がまだ小さなご家庭なので、いずれはこの天板の上にはお子様がいたずらで傷をつけるかもしれません。小学校後半になればテーブルを囲んで親子で進路相談をしたり口喧嘩をしたりすることもあるでしょう。 テーブルの上で家族の悲喜交々が重なり、この天板を眺める度にいろんな家族のエピソードを思い出す。 そしてその記憶が、ご依頼主のご家族一人一人の人生の糧になっていく。 そんな未来が詰まった朴の木のテーブル。 受け取るご依頼主も、天板を作り上げる職人さんも、それを届ける私たちも。 それぞれの立場で想いを込めたテーブルが、ご依頼主の暮らしの中で時を刻み始めました。 ====================== 【いよいよ今週末から開催!:ペルシャ絨毯展】 会期:7/15(土)〜7/30(日) 時間:11:00〜17:00  会場:Roots Lifestyle Shop (Roots猪苗代 2F)
ペルシャ絨毯展 会期延長8/31まで(終了しました)
====================== Roots Lifestyle Shopは「本物と育てる暮らし」をコンセプトに、本物のくらしの道具を通して、モノを選ぶ基準やくらしの価値観をご提案しています。新しい暮らしをお考えの方はぜひお出かけください。 Roots Lifestyle Shop (Roots猪苗代2F) 11:00-17:00 火・水 定休 tel 0242-23-4339 福島県耶麻郡猪苗代町山潟字湊志田191 mail roots-shop@sps-i.jp web http://www.roots.jp ====================== ▼Roots Lifestyle ShopはGOSHIMA絨毯の直営店です GOSHIMA絨毯公式HP https://goshima-carpets.com ▼Roots Lifestyle Shopメルマガ登録 企画展や新入荷商品などお店の情報を配信しています。 まずは、こちらからご登録してくださいね。 ▼Roots Lifestyle Shop 公式LINE「Carpets Fan」 手織り絨毯に特化した内容でお送りいたします。 以下のリンクから友だち追加してくださいね。