一枚板展始まりました/飛騨高山研修記②
先週13日から開幕した「一枚板展/国産広葉樹のハギテーブルと無垢材の雑貨たち」。
一枚板展 4/13-5/6 同時開催: 国産広葉樹のハギテーブルと 無垢材の雑貨たち
おかげさまで、初日から大勢の皆様に足をお運びいただいています。
ご来場いただいた皆様、大変ありがとうございます!
一枚板展はゴールデンウィーク終了まで続きます。
これから来場を予定されている皆様、ほんっとうに素晴らしい一枚板が揃っておりますので、ぜひ楽しみにお越しください!
展示会でもご紹介している天然木の生活動画が生まれる場所「飛騨高山」。
今回のブログでは先週に引き続き「飛騨高山研修記②」をお送りいたします。
(飛騨高山研修記①)
今回の一枚板展をより深く感じていただける研修記ですので、ぜひご一読ください。
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日がかげる頃、私たちは次の工房へ移動した。
当店では、この工房のチェアRC.044を店頭でご紹介している。
工房の主である渡部さんはホームページで必要最低限の情報しか載せていない。
つまり現地に行かないと詳細な情報が得られない工房ということだ。
訪問したらぜひお聞きしたかったことがある。
それは、RC.044の持つ「羊のツノの形」の独特な肘置きのフォルムについて。
RC.044は背もたれと肘置きの曲線の美しさが際立つチェアだ。肘置きのフォルムは先端が外に向けて反った形になっている。
セミアームチェアの肘置きはまっすぐ前に出ているか、体に沿って内巻きにカーブするフォルムになっているものが一般的だが、この形にしたのはどんな理由があるのか。
この問いの答えは、実際にご本人にお会いして「製作に集中したい」という想いに帰結していることを後に知ることになった。
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渡部さんの工房は、住宅街を両断するように広い川が流れる地域の一画にあった。
一つの敷地に2棟の作業小屋があり、RC.044はその一つの棟で製作されている。
私たちの訪問のため、渡部さんはRC.044を含めた自社製品を分かりやすくサークルに並べて待ってくれていた。
渡部さんは、広い座面に細い背柱と脚が特徴的なスッキリとしたデザインの椅子を主に製作している。しっかりとした座面に繊細な印象を与える各部位とのコントラストが美しく、座り心地にも配慮された造りである。
一つ一つを見れば異なるデザインだが、並べて見ると親和性(共通性)を感じるチェアたち。
この共通性は渡部さんのチェアの作り方に由来している。
渡部さんは一つのチェアを作るとその改良点を洗い出し新しいチェアを生み出す。そういう作り方をしているので、発案から製作までの具体的なスケジュールは決めていないそうだ。
こういった親和性の中から商品が生み出されていく過程を聞くと、一つの工房のチェアを集めていくのも面白いだろうなと思った。
現在の工房を開いて25年の渡部さん。この日、先に訪れていたオークヴィレッジさんで家具づくりを学び、その後は木匠・川上氏に師事した。
一つ一つの工程をきっちり行うオークヴィレッジさんと、合理的に製作を進める川上氏では製作工程について真逆なスタンスであり、その振り幅が家具作りの多様性を教えてくれたと渡部さんは当時を振り返った。
ものづくりにおいて「固定観念を持たない」というのは、渡部さんの大きな強みだと思った。
ちなみに渡部さんの製作工程を見る限り、ものづくりのベース(基礎や精神性みたいなところ)はオークヴィレッジさんで、作業の手法は川上氏の影響が大きくあるように思う。
さて、先に私がお聞きしてみたかった疑問についてはこのような答えが返ってきた。
RC.044の肘置きのフォルムについて。
「軽さと手への馴染みやすさについて特に注意しています。また、背もたれも背の当たり具合に注意して製作しています。使い勝手の良さと肘置きの形の良さから男女どちらも受けがいいんですよ。」
確かに、羊のツノの形をした肘置きは先端で手のひらを支えてくれ、セミアームでありがちな「手首がぶらんとする」感覚がない。体の細部にまで負担をかけずに使えるチェアが、この独特なフォルムの所以である。
また、チェアの脚の部分は耐久性を保てる極限まで削り、強度と軽さにこだわって細くしている。
男女ともにウケがいいのは、体の負担を考えた肘置きのフォルム・広い座面と使いやすい軽さからくるものだろう。
「自分から営業に出ることはほぼありません。ホームページに必要最低限の情報しか載せていないのは、そこに力を入れる時間が勿体無いと感じるからです。その分の時間を椅子のことを考えたり製作に回したい。あと、ネットに情報を載せると弟子入り希望の問い合わせが来たりする。製作工程を自分のオリジナルでまとめてしまうことがあるので、自分の所で学ぶのはお勧めできないので自分の情報も極力載せていません。」と少し茶化して笑いながら答えてくれた。
職人として製作を軸に生きること。
誰もが使いやすいシンプルで心地の良い暮らしの道具を作り出していく。
渡部さんのものづくりの真髄が、この想いと行動に宿っているように思う。
渡部さんの工房を出た頃には飛騨の街は暗くなっていた。
これで研修の1日目は終了。
この日の始め、飛騨に着いてすぐに大手の家具工房を覗いた。
飛騨の林業や家具作りの年譜が展示されていたり、飛騨で見られる木について実物とともに紹介されていたり、「飛騨の産業を素材から知ってもらいたい」という情熱が伝わってきた。
そして何より、その見せ方が洗練されていてとても心地良かった。
この情熱は飛騨で回った工房全てに共通しており、それこそが飛騨のものづくりを支えているように思う。
家具作りの現場は、木の歪みを生まないために温度・湿度の管理が徹底されている。木の粉がそこかしこに舞っていたり、機械の爆音が響いていたり、曲木を作る際には熱せられた機械に触れることもある。その場で作業をする職人さんにとっては決して快適とはいえない環境だが、そこから生まれた家具は、そんな背景を一切感じさせない洗練された美しさを纏って私たちの前に現れる。
そのギャップに人間臭さを連想し、これまで以上に無垢材の家具を愛おしく感じた。
なんだか研修1日目にして総括のような締めくくりをしてしまったが、2日目は各工房で家具作りのさらに深いところを見せていただくことになった。
(飛騨高山研修記③につづく)
【一枚板展】
会 期:4/13(土)〜5/6(月祝) 開催中!
時 間:11:00〜17:00
定休日:毎週火・水 ※4/30(火)・5/1(水)は営業
会 場:Roots Lifestyle Shop (Roots猪苗代 2F)
一枚板展 4/13-5/6 同時開催: 国産広葉樹のハギテーブルと 無垢材の雑貨たち
【お得なご成約特典も!】
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※税込30万円以上の一枚板に限ります。
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